九州大学 教育改革推進本部

活動報告


九州大学大学院教育改革指針

本指針の理念

 九州大学の教育憲章では、様々な分野において指導的な役割を果たし、アジアをはじめ広く全世界で活躍する人材を輩出し、日本及び世界の発展に貢献することを目標とし、それに則して、今後百年の行動計画の「基本理念」として「自律的に改革を続け、教育の質を国際的に保証するとともに、常に未来の課題に挑戦する活力に満ちた、最高水準の研究教育拠点となる」ことを標榜している。
 近年、グローバル化・多極化の進展、少子高齢化及びそれによる生産年齢人口の急激な減少などによる社会構造・産業構造の転換、自然災害・エネルギー問題など地球規模の課題の噴出など、大きな社会的変動が起きている中、大学は、新たな知の創造や社会的課題の解決策の探究を通じて、これまで以上に高度な知識・技術を備えた人材を輩出することにより、我が国、延いては世界中の豊かさを維持し、成長を牽引する「核」となることが大きく期待されている。

 本指針は、九州大学大学院で行うべき教育改革の実行方針を示し、九州大学の構成員一人ひとりが自覚と覚悟を持って、各々が有する責務を遂行することにより、上記の「基本理念」の実現に向けた「確かな歩み」につなげることを目的とするものである。

1.九州大学大学院が目指すべき姿(大学院教育の基本方針)

 九州大学大学院は、地理学的な特色を活かして、主としてアジア地域に軸足を置きつつグローバルに展開・発信する世界水準の教育・研究拠点として、我が国の将来の発展の鍵となる高度な専門的知識と倫理観を基礎に自ら考え行動し、新たな知を創り出し、既存の様々な枠を超えてグローバルに活躍できる人材の育成を志向している。

 九州大学では、上記の「基本理念」を踏まえた「九州大学アクションプラン」において,イノベーション創出を担う人材や世界をリードするグローバル人材を育成することとしている。特に、大学院教育においては、俯瞰力、実践力、牽引力、独創性及び創造性を備えた豊かな研究・開発能力を持つ研究者や、多様な社会的課題・ニーズに柔軟に対応でき、かつ、高度な専門知識・能力を持つ高度専門職業人に代表される「高度な知のプロフェッショナル」を育成することが必要であり、こうした人材の育成には、学究の徒である大学教員の独創的かつ卓越した研究に裏打ちされた世界最高水準の大学院教育を構築・展開することが一層求められる。このため、以下に示す基本方針に基づき、九州大学大学院の教育改革を推進する。

1)大学教員による最先端・独創的研究に基づく大学院教育及び産業界を始めとする社会のニーズに対応した大学院教育の展開(大学院教育の目的)。

2)学府・研究院制度の特長を最大限活用し、特定の専門性を学問基盤としつつも柔軟かつ機動性のあるオーダーメイド型の学位プログラムの編成。特に、客観性のある学位審査体制の構築(主指導教員と主査を別にする、外国人教員、学外専門家の審査への参加など)。

3)社会に点在する既知の知識をつなぎ解決策を模索する「共創」の理念の下に、学内外の人材の登用による大学院教育の「担い手」の多様化(優秀な若手研究者の育成・活用促進を含む)、異なる社会的・文化的背景、専門性をもつ大学院教育の「受け手」の多様化の促進。

4)社会的ニーズの分析など客観的根拠に基づく学位プログラムの不断の見直し。

2.九州大学大学院教育改革の実行指針

世界最高水準の大学院教育の一層の構築・展開に向け、大学院教育改革の具体的な実行指針として配慮すべき項目を以下に例示する。


1)大学教員の最先端・独創的研究を一層推進しつつ、総合研究大学としての優れた教育資源に支えられた、大学院基幹教育に代表される「大学院共通教育システム」を有効活用し、学術の進展や産業界を始めとする社会のニーズ等の動向を見据えつつ、大学院副専攻、学内組織又は学外の大学との連携によるダブルディグリー及びジョイントディグリー制度など学生を主体として編成される「ダ・ヴィンチプログラム」(学府、専攻及び教育プログラムを横断するオーダーメイド型の大学院学位プログラム。いわゆる大学院版の21世紀プログラム)を編成可能な柔軟な仕組みの構築。

2)客観的な指標に基づく複数段階のQE(Qualifying Examination(5年間の一貫プログラムを念頭))やFE(Final Examination)、外部審査員の登用などによる学位審査体制を設けるとともに、若手研究者(助教・ポスドク)を授業担当教員や研究指導教員へ登用するなど大学教育への積極的参画を通じた未来ある若手人材の育成・活用促進。極めて優秀な学生を対象に在学中の努力や業績を評価する「顕彰制度」を導入することによる学生の研究意欲の促進。

3)国内外の企業や海外の大学などから多様な教育・運営の担い手の参画による指導体制(例えば、学外メンター等の外部人材を含めた複数指導教員体制など)の構築や社会人、留学生、異なる専門性を持つ学生など異なる背景を持つ学生らによるディスカッション等を通じ,専門知識の深化,幅広い分野を俯瞰的に見る能力、現実の諸課題に先導して対応できる実践力・牽引力を養成。

4)学位プログラムの運営母体と教育改革推進本部における評価、教育サポート機構が一体となった教育運営体制を構築し、新しい教授法の開発・改良、FD(Faculty Development)・SD(Staff Development)の全学的な連携のもとでの継続的な実施

3.九州大学大学院教育改革の実行計画

 本指針を踏まえた各学府における大学院教育改革の実行計画の策定を部局に要請する。その際は、実行指針のうち、客観性のある学位審査体制の構築については当該各学府の計画に盛り込まれるよう求めるとともに、第三期中期目標期間の終了までに全ての学府において当該学府の実行計画を策定するよう求めるものとする。
 併せて、各部局に対して、実行指針の「ダ・ヴィンチプログラム」のような従来の専攻や学府を越えた教育体制の検討を求めるものとする。

 なお、専門職大学院については、本指針の趣旨を踏まえ,適切な実行計画を策定されるよう要請する。